車旅の夜、道の駅の駐車場で温かいものを一口食べられるかどうかで、翌朝の体調がまるで変わります。とはいえ「キャンプ用のコンロって種類が多すぎて、どれを買えば車中泊で使えるのかわからない」という声はとても多いです。カセット式・OD缶式・アルコール・固形燃料と選択肢が並び、価格も5,000円台から2万円超まで幅があります。
結論から言うと、車旅のスタートで選ぶべきはカセットボンベ(CB缶)を使うタイプです。理由は3つ。燃料がコンビニやスーパーで買えること、1本200円前後と安いこと、そして家でも同じ機器がそのまま使えることです。専用のOD缶は火力と低温耐性で有利ですが、旅先で切らすと補充が難しく、車旅では致命的になりがちです。
この記事では、イワタニ・SOTO・ユニフレームの公式スペックをもとに、実売5,180円のモデルから24,750円のツーバーナーまで6機種を横並びで比較します。あわせてCB缶とOD缶の違い、風対策、そして「車内とテント内では絶対に使わない」という安全のルールまで、車中泊目線でまとめました。
・車旅でカセット式が有利になる燃料コスト・入手性の具体的な数字
・CB缶とOD缶の火力・価格・低温耐性の違いと使い分け
・実売5,180円〜24,750円のおすすめ6機種を火力・重量・サイズで徹底比較
・車内やテント内で使ってはいけない理由と、安全に調理する場所の作り方
・夏の車内にボンベを置いたときに何が起きるかと、正しい保管ルール
キャンプでカセットコンロが車旅の主役になる3つの理由

アウトドア用の燃焼器具はいくつも系統がありますが、車中泊という条件を足すと選択肢は一気に絞られます。停まる場所が道の駅やRVパーク、コンビニのある街道沿いになる以上、「燃料を現地調達できるか」が装備選びの中心になるからです。ここでは車旅にカセット式が向く理由を、コスト・入手性・汎用性の3方向から整理します。
燃料1本200円前後、ランニングコストがOD缶の3分の1で済む
カセットボンベ最大の武器は燃料の安さです。一般的なカセットボンベは3本パックで500〜700円前後、1本あたり200円前後で手に入ります。対してアウトドア専用のOD缶は、同じ250gクラスで1本600〜800円台が中心です。単純計算で3倍前後の差がつきます。
この差は旅の日数に比例して効いてきます。たとえば朝夕2回お湯を沸かし、夜は鍋を1回作る使い方だと、ボンベは1泊で半分〜1本弱を消費します。3泊4日の車旅なら2〜3本。カセット式なら600円前後、OD缶なら2,000円前後です。1回の旅では小さな差でも、月2回のペースで1年続ければ1万円以上の開きになります。
使う場面としては、ソロで「お湯を沸かしてカップ麺とコーヒー」という最小構成でも、夫婦旅で鍋やフライパン調理までやる場合でも、この差は同じように効きます。とくに長期の車旅では、燃料代を気にせず火を使えることが食事の自由度に直結します。
注意点は、安いボンベほど中身の配合が違うことです。安価なノーマルガスはブタン中心で、気温が下がると気化しにくくなります。冬の車旅ではイソブタン配合のパワー系ボンベ(1本300〜400円前後)を選ばないと、火力が落ちて湯が沸かない事態になります。安さだけで選ばず、季節でボンベを使い分けるのが前提です。
コンビニ・スーパー・ホームセンターで買えるという安心感
燃料を現地調達できることは、車旅では価格以上の価値があります。カセットボンベはコンビニ、スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、100円ショップまで、ほぼどこでも売っています。対してOD缶は、アウトドア専門店か大型スポーツ店、一部のホームセンターに限られます。
これが効くのは「予定変更」の場面です。天気が崩れてルートを変えた、思ったより長く滞在することにした、寒くて予定よりガスを食った。こうしたときにOD缶だと、わざわざ専門店を検索して数十km戻るはめになります。カセットボンベなら、次に立ち寄るコンビニで解決します。
災害時の観点でも同じことが言えます。カセットボンベは家庭用の備蓄燃料として広く流通しているため、非常時にも入手経路が多いという特徴があります。車中泊装備をそのまま防災装備として兼用したい人にとっては、これは大きな判断材料です。
デメリットも挙げておくと、ボンベはメーカーごとに切り欠きの形状や推奨が異なり、機器メーカーは「自社ブランドのボンベを使うこと」を指定しています。100円ショップの汎用ボンベが物理的に装着できても、メーカー保証の対象外になるケースがあります。緊急時の予備としては持っても、常用は避けたほうが無難です。
家のカセットコンロと燃料を共通化できる
意外と見落とされがちなのが、家庭とアウトドアで燃料を共有できる点です。防災用に買っておいたボンベを車に積み、使いかけを持ち帰って自宅の鍋料理で消費する。この循環ができると、ボンベを「使わないまま古くしてしまう」問題が起きにくくなります。
これが重要なのは、カセットボンベに使用期限があるからです。イワタニ(岩谷産業)は、カセットボンベは製造から約7年以内の使い切りが目安、こんろ本体は製造から10年を目安に買い替えを検討するよう案内しています。ゴム部品は使用頻度に関わらず経年劣化していくためです。ローリングストック、つまり日常で使いながら備蓄を回す方法が推奨されています。
使い方の場面としては、車中泊シーズンが春〜秋に偏る人ほど効果があります。冬にストックが眠るのを防げるからです。逆にOD缶は家庭の調理器具では使えないため、旅が途切れると缶が余ったまま何年も棚に残ります。
注意点は、屋外専用モデルは室内で使えない場合があることです。イワタニの「タフまる」シリーズは屋内外兼用として設計されていますが、機種によって扱いが異なります。家でも使う前提で買うなら、購入前に取扱説明書の使用環境の記載を確認してください。

「車中泊を始めたいけれど、まず何を買えばいいのか分からない」——これは車中泊デビュー前のほとんどの人がぶつかる壁です。マット、寝袋、ポータブル電源、網戸、サンシ…
CB缶とOD缶は結局どっちが正解?車旅目線で比べてみる
「アウトドアならOD缶が本格的」という空気はいまだにありますが、車旅という条件では話が変わります。徒歩で山に入る登山者と、クルマで移動する車中泊派では、装備に求める性質がまるで違うからです。ここでは両者の違いを4つの角度から具体的に見ていきます。
形と構造の違いが、そのまま置き場所の違いになる
CB缶は直径約6.5cm・長さ約24cmの細長い形で、コンロの側面に横向きに差し込みます。OD缶は直径約7〜11cmの背の低い円筒で、バーナーの真下に縦に接続するのが基本です。この差が、実際の使い勝手を大きく分けます。
CB缶式は重心が低く、テーブルの上でも安定します。ゴトクの高さも低いため、鍋を置いたときに揺れにくいのが特徴です。OD缶式は缶の上にバーナーが乗る構造上、背が高くなり、大きめのフライパンや鍋を載せると転倒リスクが上がります。車の横に出した折りたたみテーブルは平らでないことも多く、この安定性の差は無視できません。
収納面ではOD缶に分があります。CB缶は24cmの長さが常に必要で、収納ケースの寸法もそれに引っ張られます。軽バンやコンパクトカーで荷室を切り詰めたい人にとっては、この24cmが地味に効いてきます。
注意点として、CB缶を横向きに差すタイプは、缶を逆さや斜めにすると液体のままガスが出て異常燃焼の原因になります。傾いた地面で使わない、缶の向きを勝手に変えないという基本を守る必要があります。
火力と低温耐性、勝負がつくのは冬の朝
スペック上の火力は、実はCB缶式でも十分です。この記事で紹介するイワタニ「風まるIII」は3.5kW(3,000kcal/h)、ユニフレーム「ツインバーナーUS-1900」はプレミアムガス使用時で3,900kcal/hを2口分出します。家庭用ガスコンロの標準バーナーが3.0〜4.0kW前後なので、キッチンと同等かそれ以上ということです。
差がつくのは低温環境です。CB缶の主成分ブタンは沸点が約マイナス0.5℃で、氷点下近くになると気化しにくくなります。OD缶はイソブタンやプロパンを混合しているため、より低い温度でも安定して燃えます。冬に標高の高い道の駅や北国で車中泊するなら、この違いは朝の一杯を左右します。
ただしCB缶側にも対策があります。イソブタン配合のパワー系ボンベを使う、ボンベを寝袋の中に入れて温めてから使う、ボンベを温める機構を持つ機種を選ぶ、といった手です。ユニフレームUS-1900はカセットボンベを温めて気化を促す構造を持ち、火力低下を防ぐ設計になっています。
注意すべきは、ボンベを直火やストーブで温める行為です。これは破裂につながる極めて危険な行為で、絶対にやってはいけません。温めるなら体温や車内の余熱程度にとどめてください。
価格差は本体より燃料で開いていく
本体価格だけを見ると、両者に決定的な差はありません。CB缶式はイワタニ「風まるIII」が実売5,180〜5,400円前後、SOTO「レギュレーターストーブ ST-310」が希望小売価格7,480円(税込)。OD缶式のシングルバーナーも6,000〜15,000円台が中心で、価格帯は重なります。
差が広がるのは燃料です。前述のとおりCB缶が1本200円前後、OD缶が600〜800円台。年間20泊する車旅派で、1泊あたり0.7本消費すると仮定すると、年間14本。CB缶なら2,800円前後、OD缶なら8,400〜11,200円です。3年使えば本体価格を上回る差になります。
逆に、年に2〜3回しか使わない人や、登山とキャンプを兼ねる人ならOD缶の合理性が上がります。軽量コンパクトで、標高の高い場所でも安定して燃えるからです。使用頻度と行き先で答えが変わるということです。
注意点は、安価なCB缶を大量買いして古くしてしまうパターンです。使用期限の目安は製造から約7年ですが、まとめ買いしすぎると使い切れません。3〜6本を回しながら補充するのが現実的です。
| CB缶(カセットボンベ)のメリット | CB缶のデメリット |
|---|---|
| 1本200円前後と燃料が安い コンビニ・スーパーで買える 家庭用こんろと燃料を共有できる 重心が低く鍋を置いても安定する 防災備蓄としてそのまま使える | 氷点下近くで気化しにくい 長さ24cmぶんの収納スペースが要る 本体が大きく重い機種が多い メーカー純正ボンベの指定がある 傾けて使うと異常燃焼の恐れ |
車旅なら「重さ」より「置きやすさ」で選ぶべき理由
登山用品の世界では数十グラムの軽量化が価値になりますが、車旅では前提が違います。クルマが荷物を運んでくれる以上、100gの差より「テーブルにどう置けるか」「どこにしまえるか」のほうが実用に直結します。
たとえばSOTO ST-310は330gと圧倒的に軽く、収納時は幅140×奥行70×高さ110mmに畳めます。一方イワタニ タフまるは本体約2.4kg、341×283×129mm。重量差は7倍以上です。しかし車内に積むなら2.4kgは誤差の範囲で、むしろ風防つきで安定して調理できるメリットのほうが大きくなります。
使い分けの目安はこうです。クルマから10歩以内で調理する人は、重くても風防つきの箱型。車を停めた場所から離れて河原や展望台まで持ち出す人、あるいは荷室が狭い軽自動車で1cmでも切り詰めたい人は、軽量コンパクトなシングルバーナー。この線引きで大きく外しません。
注意点は、軽量モデルはゴトクが小さいことです。ST-310のゴトクは直径の小さい鍋やケトル向けで、大きめのフライパンや土鍋を載せると不安定になります。調理内容が「湯を沸かす」以上に広がる予定なら、ゴトクの大きさを先に確認してください。
失敗しない選び方は3つの物差しで決まる|火力・風防・サイズ

製品ページを開くと、火力・燃焼時間・重量・耐荷重と数字が並びます。すべてを比べようとすると迷子になるので、車旅で本当に効く3つに絞りましょう。火力(何を作るか)、風防(どこで使うか)、サイズ(どこにしまうか)です。
火力は3.0kW以上あれば十分、それ以上は「風」で決まる
火力の目安は最大発熱量で示されます。カップ麺用の湯500mlを沸かすだけなら2.0kW台でも足りますが、鍋やパスタ、炒め物までやるなら3.0kW以上が快適な水準です。イワタニ タフまるは3.3kW(2,800kcal/h)、風まるIIIは3.5kW(3,000kcal/h)で、この基準を満たします。
ただし、カタログの火力は無風の実験室での数字です。実際の車旅では、海沿いの道の駅や高原の駐車場のように、常に風が抜ける場所で使うことが多くなります。風速2〜3mでも炎はあおられ、熱が鍋底に届かず、湯が沸くまでの時間が倍近くになることがあります。
だから「3.5kWだから風まるIIIが一番速い」という単純な話にはなりません。火力の数値は、風をどれだけ遮れるかとセットで初めて意味を持ちます。風防なしの高火力より、風防つきの中火力のほうが実戦では速い、という逆転が普通に起きます。
注意点は、火力が上がるほどガスの消費も速いことです。風まるIIIの連続燃焼時間は約66分、タフまるは約75分、タフまるJr.は約102分。強火で使いっぱなしにすると1時間強でボンベが空になる計算です。予備を1本積んでおく前提で考えてください。
意外と知られていないのですが、カタログ火力の差は風の前ではほとんど意味を失います。3.5kWのモデルと2.9kWのモデルを海沿いで並べても、風防の有無のほうが湯が沸く時間を大きく左右します。カセットコンロ選びで最初に見るべきは火力の数字ではなく「炎を風から守る構造があるか」。この順番を逆にすると、高いモデルを買ったのに現地でイライラすることになります。
風防の有無が、道の駅での夕食の速さを決める
車旅の調理は、ほとんどが屋外です。道の駅の駐車場、RVパークの区画、河原の駐車スペース。どこも建物の陰は限られ、風が抜けます。だから風防は「あれば便利」ではなく、車中泊では必須装備に近い位置づけになります。
イワタニのタフまる・風まるIIIには「ダブル風防ユニット」が搭載されています。外側と内側の2段階で風をさえぎりつつ、燃焼に必要な空気は取り込む構造で、風まるIIIに使われている機構は特許第5174947号として登録されています。箱型のカセットこんろが車旅で人気なのは、この風防が本体に組み込まれているからです。
シングルバーナーを使う場合は、別売りのウインドスクリーンを組み合わせるのが基本です。ソロ用の折りたたみ風防は2,000〜4,000円台で買えます。クルマのボディを風上に置く、リアゲートを開けて陰を作るといった配置の工夫も効きます。
ここでよくある失敗が、カタログの火力だけで機種を選び、海沿いの道の駅で「湯が沸かない」と困るパターンです。原因は火力不足ではなく、風で熱が逃げていること。対策はシンプルで、風防つきの機種を選ぶか、風防を別途用意するか、クルマを風よけに使えるレイアウトで停めるかの3択です。買う前に「自分は風の中で使う」と想定しておくだけで、選択を誤りません。
荷室の空きスペースから逆算してサイズを決める
3つ目の物差しはサイズです。車中泊では荷室のスペースが有限で、寝床を確保した残りに調理器具を収める必要があります。先にコンロを買って、あとから「入らない」と気づくのが典型的な失敗です。
実寸で見ると、イワタニ タフまるの本体は341×283×129mm、専用ケースに入れると376×341×136mmになります。タフまるJr.は本体286×193×122mm、ケース320×252×135mmと一回り小さい。ユニフレームUS-1900は収納時で約54×32.5×11.5cmと、ノートPC以上のサイズです。SOTO ST-310は収納時140×70×110mmで、グローブボックスにも入ります。
選び方の場面別の目安はこうです。軽バンや軽ハイトワゴンで大人1〜2人が寝るレイアウトなら、タフまるJr.かST-310のクラス。ミニバンやハイエースで荷室に余裕があるなら、タフまるや風まるIII。キャンピングカーやファミリーの長期旅なら、2口のUS-1900まで視野に入ります。
注意点は、コンロ本体だけでなくボンベの置き場も要るということです。CB缶は1本あたり長さ約24cm。予備を2本積むなら、その分のスペースと転がり防止の固定を考えておく必要があります。ケースの隙間に差し込むか、コンテナにまとめるのが現実的です。
| 機種 | 価格(税込) | 最大火力 | 質量 | 連続燃焼時間 |
|---|---|---|---|---|
| イワタニ タフまる CB-ODX-1 |
11,000円 | 3.3kW (2,800kcal/h) |
約2.4kg | 約75分 |
| イワタニ タフまるXG CB-ODX-XG |
11,990円 | 3.4kW (2,900kcal/h) |
約2.2kg | 約75分 |
| イワタニ タフまるJr. CB-ODX-JR |
オープン価格 (実売6,580円前後) |
2.3kW (2,000kcal/h) |
約1.6kg | 約102分 |
| イワタニ 風まるIII CB-KZ-3 |
オープン価格 (実売5,180円〜) |
3.5kW (3,000kcal/h) |
約2.2kg | 約66分 |
| SOTO ST-310 |
7,480円 | 2.9kW (2,500kcal/h) |
330g | 約1.5時間 |
| ユニフレーム US-1900 |
24,750円 | 3,900kcal/h×2 (プレミアムガス時) |
約3.9kg | 約45分 (プレミアムガス時) |
※車中泊&キャンピングカーの教科書調べ。各メーカー公式サイト公表値をもとに作成(2026年7月時点)。実売価格は変動します。
定番3機種の実力を比べる|タフまるシリーズはどれを選ぶ?
車旅の現場で圧倒的に見かけるのが、イワタニの「タフまる」シリーズです。屋外での使用を前提に設計された箱型カセットこんろで、風防が本体に組み込まれているのが最大の特徴。ここでは無印・XG・Jr.の3機種を、実寸と数字で比べます。
イワタニ タフまる CB-ODX-1|耐荷重20kgでダッチオーブンが載る
シリーズの基準になるモデルです。希望小売価格は11,000円(税抜10,000円)。最大発熱量3.3kW(2,800kcal/h)、連続燃焼時間は約75分。ダブル風防ユニットで外側・内側の2段階に風をさえぎる構造になっています。
車旅で効くのは耐荷重20kgというスペックです。ダッチオーブンに対応し、鍋底の直径24cmまでの鍋が使えます(小さい鍋は鍋底16cm以上)。つまり大きめの鍋で家族分のカレーを煮る、ダッチオーブンで無水調理をするといった使い方まで受け止められます。本体寸法は341×283×129mm、質量は約2.4kg。専用キャリングケース(376×341×136mm)が付属し、ケース込みで約3.5kgです。
使う場面としては、リアゲートを跳ね上げた下や、車の横に出したテーブルの上での本格調理。夫婦での車旅やファミリーの週末キャンプで、鍋を1つ使った温かい料理を作りたい人に向きます。安全装置として圧力感知安全装置を備え、点火は圧電点火方式です。
デメリットは大きさと重さです。ケースが376×341mmあるため、軽自動車の荷室では確実に一角を占領します。また鍋底16cm未満の小さなクッカーは安定せず、ソロ用の小型ケトルとの相性はいまひとつ。ソロ中心なら次のJr.かシングルバーナーのほうが噛み合います。
| 製品名 | カセットフー タフまる CB-ODX-1 |
| メーカー | 岩谷産業(イワタニ) |
| 価格 | 希望小売価格 11,000円(税込・税抜10,000円) |
| サイズ | 本体 341×283×129mm/ケース 376×341×136mm |
| 火力/燃焼時間 | 3.3kW(2,800kcal/h)/約75分 |
| 特徴 | 質量約2.4kg(ケース収納時 約3.5kg)/耐荷重20kg/ダブル風防ユニット/圧電点火方式・圧力感知安全装置 |
出典:岩谷産業 カセットフー”タフまる”CB-ODX-1 公式製品ページ
イワタニ タフまるXG CB-ODX-XG|小さなクッカーまで載る改良版
タフまるの上位・改良モデルがXGです。希望小売価格は11,990円(税込)。最大発熱量は3.4kW(2,900kcal/h)と無印より0.1kW高く、連続燃焼時間は約75分(気温20〜25℃時の実測値)。本体寸法341×283×129mm、ケース376×341×136mmと外寸は無印と同じですが、質量は約2.2kgと200g軽くなっています。
最大の違いはゴトクです。無印が鍋底16cm以上を要求するのに対し、XGは鍋底の直径6cm以上の小さなクッカーまで安定して載ります。つまりソロ用のシェラカップや小型ケトルから、直径24cmの鍋、20kgのダッチオーブンまで、1台でカバーできるということです。
使う場面は幅広く、ソロの車中泊で朝コーヒーを淹れるためだけに使う日もあれば、家族旅行で鍋を煮る日もある、という人に噛み合います。1台で全部やりたい、けれど小物調理の安定性も諦めたくない場合の答えがXGです。価格差は無印比で約990円なので、これから買うなら選ばない理由が見つかりにくい構成になっています。
デメリットは、サイズと重量は無印とほぼ同じである点です。荷室のスペース問題は解決しません。また実売価格は流通量の関係で無印より高止まりしやすく、値引き狙いなら無印のほうが安く手に入る場面もあります。小さいクッカーを使う予定がまったくないなら、無印で十分です。
| 製品名 | カセットフー タフまるXG CB-ODX-XG |
| メーカー | イワタニ・プリムス(FOREWINDS) |
| 価格 | 希望小売価格 11,990円(税込) |
| サイズ | 本体 341×283×129mm/ケース 376×341×136mm |
| 火力/燃焼時間 | 3.4kW(2,900kcal/h)/約75分 |
| 特徴 | 質量約2.2kg/耐荷重20kg/鍋底6cm以上の小型クッカー対応/専用キャリングケース付属 |
出典:イワタニ・プリムス カセットフー”タフまるXG”公式製品ページ
イワタニ タフまるJr. CB-ODX-JR|1.6kgで軽バンの荷室に収まる小型版
タフまるを一回り小さくしたのがJr.です。メーカー希望小売価格はオープン価格で、実売は6,580円前後(税込)。最大発熱量は2.3kW(2,000kcal/h)と控えめですが、そのぶん連続燃焼時間は約102分(イワタニカセットガス/パワーゴールド使用時)と長く、カセットガスジュニア使用時で約45分です。
車旅で光るのはサイズです。本体286×193×122mm、ケース320×252×135mm、質量約1.6kg。無印比で本体幅が55mm、質量が800g減ります。軽バンや軽ハイトワゴンで寝床を作ると、残る荷室は幅30cm前後ということが珍しくありません。Jr.のケース幅320mmなら、その隙間に押し込めます。
使う場面はソロ車中泊が中心です。1〜2人分のラーメン、レトルトの温め、コーヒー用の湯沸かし、小さめのフライパンで朝食。この範囲なら2.3kWで不足はありません。使える鍋は鍋上部の直径20cmまで(小さい鍋は鍋底11cm以上)で、20cmの鍋やフライパンまで対応します。
デメリットは火力と鍋のサイズ制限です。大人4人分の鍋を作る、直径24cmの土鍋を使うといった用途には向きません。また2026年4月に後継の「タフまるXG Jr.」(CB-ODX-XGJR/希望小売価格11,000円)が登場しており、こちらはX形状ゴトクで鍋底6cm以上の小型クッカーに対応します。実売価格に4,000円以上の差があるので、小さなクッカーを使うかどうかで選び分けてください。
| 製品名 | カセットフー タフまるJr. CB-ODX-JR |
| メーカー | 岩谷産業(イワタニ) |
| 価格 | オープン価格(実売6,580円前後・税込) |
| サイズ | 本体 286×193×122mm/ケース 320×252×135mm |
| 火力/燃焼時間 | 2.3kW(2,000kcal/h)/約102分(カセットガス・パワーゴールド使用時) |
| 特徴 | 質量約1.6kg/鍋上部の直径20cmまで対応/専用キャリングケース付属/後継のタフまるXG Jr.は2026年4月発売 |
出典:岩谷産業 カセットフー”タフまるJr.”CB-ODX-JR 公式製品ページ
安さ・軽さ・パワーで選ぶ3機種|5,180円から24,750円まで
タフまるシリーズが「屋外向け箱型の定番」なら、ここで紹介する3機種はそれぞれ別の方向に振り切ったモデルです。コスパの風まるIII、携帯性のSOTO ST-310、2口のパワーを持つユニフレームUS-1900。用途がはっきりしている人ほど、こちらのほうが刺さります。
イワタニ 風まるIII CB-KZ-3|3.5kWの高火力を5,000円台で
コストパフォーマンスで見れば、この記事の6機種で頭一つ抜けています。オープン価格で実売5,180〜5,400円前後(税込)、最大発熱量は3.5kW(3,000kcal/h)と6機種中トップの火力です。専用キャリングケースも付属します。
風防はタフまると同じ思想のダブル風防ユニットで、燃焼に必要な空気は取り込みつつ風は通さない構造。この機構は特許第5174947号として登録されています。外形寸法は357×278×115mm、質量は約2.2kg。屋内外兼用として設計されており、家庭の鍋料理でもそのまま使えるのが強みです。
使う場面は「風の中でも安く高火力がほしい」ケース全般。夫婦やファミリーの車旅で鍋やパスタを作る、大きめのフライパンで炒め物をする、といった用途に向きます。耐荷重は15kgで、鍋底の直径24cm以下の鍋に対応します。連続燃焼時間は約66分と、6機種中では短め。強火多用なら予備ボンベを必ず用意してください。
デメリットは、耐荷重15kgでタフまるの20kgに届かないこと。重量級のダッチオーブンを常用するなら、タフまるかXGを選んだほうが安心です。また高さ115mmと薄型なぶん本体の幅が357mmあり、収納時の面積は決して小さくありません。荷室に横340mm以上の面が確保できるか、買う前に測っておくと確実です。
| 製品名 | カセットフー 風まるIII CB-KZ-3 |
| メーカー | 岩谷産業(イワタニ) |
| 価格 | オープン価格(実売5,180〜5,400円前後・税込) |
| サイズ | 357×278×115mm |
| 火力/燃焼時間 | 3.5kW(3,000kcal/h)/約66分 |
| 特徴 | 質量約2.2kg/耐荷重15kg/鍋底の直径24cm以下/ダブル風防ユニット(特許第5174947号)/屋内外兼用 |
出典:岩谷産業 カセットフー”風まるIII”CB-KZ-3 公式製品ページ
SOTO レギュレーターストーブ ST-310|330gでグローブボックスに入る
箱型が「調理台ごと持ち歩く」発想なら、ST-310は「バーナーだけ持ち歩く」発想です。希望小売価格7,480円(税込)、重量はわずか330g。収納時は幅140×奥行70×高さ110mmに畳めて、グローブボックスやドアポケットにも収まります。
技術的な特徴はマイクロレギュレーターです。気温25℃〜5℃の環境で一定の火力を保ち、連続使用によるドロップダウン(缶が冷えて火力が落ちる現象)の影響を受けにくくなっています。発熱量は2.9kW(2,500kcal/h)、使用時間は約1.5時間(SOTOのST-760を1本使用時)。バーナー・器具栓つまみ・ゴトクはステンレス、ボンベホルダーと点火スイッチは樹脂製です。
使う場面はソロの車中泊と、クルマから離れて調理する旅です。展望駐車場でお湯を沸かす、河原まで持ち出してコーヒーを淹れる、車内の荷物を最小限にしたい軽自動車での長期旅。使用時は幅166×奥行142×高さ110mmで、テーブルの隅で完結します。
デメリットは2つ。まず本体に風防がないため、屋外では別売りのウインドスクリーンがほぼ必須です。もう1つはゴトクの小ささで、大きな鍋やフライパンを載せると不安定になります。使用ガスはSOTO製品専用容器(カセットガスタイプ)が指定されており、他社ボンベの常用はメーカー推奨外です。
| 製品名 | レギュレーターストーブ ST-310 |
| メーカー | 新富士バーナー(SOTO) |
| 価格 | 希望小売価格 7,480円(税込) |
| サイズ | 使用時 166×142×110mm/収納時 140×70×110mm |
| 火力/使用時間 | 2.9kW(2,500kcal/h)/約1.5時間(ST-760を1本使用時) |
| 特徴 | 重量330g/マイクロレギュレーター搭載/圧電点火方式/ゴトクはステンレス製 |
出典:SOTO レギュレーターストーブ ST-310 公式製品ページ
ユニフレーム ツインバーナー US-1900|2口3,900kcal/hでキッチンが完成する
4人以上の食事や長期の車旅なら、2口という選択肢が視野に入ります。ユニフレームのツインバーナーUS-1900は24,750円(税込)。最大出力はプレミアムガス使用時で3,900kcal/h×2、レギュラーガス使用時で3,000kcal/h×2と、2口それぞれが家庭用コンロ以上の火力を持ちます。
2口の価値は「同時進行」です。片方でお湯を沸かしながら、もう片方でフライパンを振る。ご飯を炊きながら味噌汁を作る。1口だと10分待たされる工程が、2口なら並行して終わります。家族4人ぶんの朝食を用意する場面では、この差が30分単位で効いてきます。カセットボンベを温めて気化を促す構造を備え、火力低下を抑える設計になっている点も、寒い時期の車旅では効きます。
本体ボディはアルミニウム、ゴトク・バーナー・スタンドはスチール、汁受けはステンレス鋼。重量は約3.9kgで、サイズは使用時が約54×32.5×29cm(ゴトク面)、収納時が約54×32.5×11.5cmです。オプションでUS-1900グリルプレート(5,500円)やUS-1900収納ケース(4,400円)も用意されています。
デメリットは価格とサイズです。24,750円は風まるIIIの約5倍。収納時も約54×32.5cmと、軽自動車の荷室では現実的ではありません。またボンベを2本同時に消費するため、最大火力時の燃焼時間はプレミアムガスで約45分、レギュラーガスで約55分。ガスの減りは倍のペースになります。キャンピングカーやミニバンで、家族の食事をしっかり作る人向けの1台です。
| 製品名 | ツインバーナー US-1900 |
| メーカー | ユニフレーム(新越ワークス) |
| 価格 | 24,750円(税込) |
| サイズ | 使用時 約54×32.5×29cm/収納時 約54×32.5×11.5cm |
| 火力/燃焼時間 | プレミアムガス 3,900kcal/h×2(約45分)/レギュラーガス 3,000kcal/h×2(約55分) |
| 特徴 | 重量約3.9kg/本体アルミニウム製/2口同時調理/別売グリルプレート5,500円・収納ケース4,400円 |
出典:ユニフレーム ツインバーナーUS-1900 公式製品ページ

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車内とテント内で使ってはいけない理由と、安全な調理場所の作り方
ここは記事の中でもっとも重要なパートです。カセットこんろの事故は、性能ではなく使い方で起きます。とくに車中泊は「雨だから車内で」「寒いからテントの中で」という誘惑が常にある環境なので、線引きを最初にはっきりさせておきましょう。
メーカーが「車内・テント内では絶対に使用しない」と明記している
結論から言えば、カセットボンベを使う燃焼器具を車内やテント内で使うことは、メーカーが明確に禁止しています。岩谷産業は公式に「カセットボンベを使用する器具はテント内や車内では絶対に使用しないでください」と案内しています。これは推奨ではなく禁止事項です。
理由は一酸化炭素です。ガスが燃えるには酸素が必要で、閉め切った空間では酸素が減り、不完全燃焼が起きます。そのとき発生する一酸化炭素は無色無臭で、気づかないうちに体内に取り込まれます。車の室内容積はミニバンでも数立方メートル程度しかなく、テントより早く空気が入れ替わらなくなります。
「窓を少し開ければ大丈夫」という判断も危険です。数センチの隙間では、燃焼で消費される酸素の量に給気が追いつきません。加えて調理中の湯気で結露が発生し、窓を閉めたくなる心理が働きます。車内調理は、判断が甘くなる条件がそろっているという点でもリスクが高いのです。
正しい対処は「調理は車外、就寝は車内」と場所を分けることです。雨の日はリアゲートを跳ね上げてその下で、もしくはカーサイドタープの下で。屋根のある場所でも、四方が囲まれていない開放された空間であることが条件になります。体調の異変を感じたときの対処は自己判断せず、速やかに換気して屋外に出て、必要に応じて医療機関に相談してください。
岩谷産業は公式に「カセットボンベを使用する器具はテント内や車内では絶対に使用しないでください」と案内しています。一酸化炭素は無色無臭で、発生に気づけません。「窓を数センチ開ける」程度では給気が足りず、対策になりません。調理は必ず車外で行い、車内では火を使わない。この線引きだけは崩さないでください。
雨の日でも安全に調理できる場所の作り方
車外で調理すると決めたら、次は雨と風への対処です。答えはシンプルで、クルマの構造を屋根として使うこと。リアゲートを跳ね上げるタイプの車なら、その下に約1〜1.5m四方の雨よけスペースが生まれます。ここにコンロを置けば、雨天でも調理できます。
大切なのは、リアゲートの下は「開放された屋外」であって「閉じた空間」ではないという点です。左右と後方が開いているため空気が流れ、燃焼ガスが滞留しません。逆に、カーサイドタープの周囲をスカートで完全に囲ってしまうと、テント内と同じ状態になります。囲うなら必ず2面以上を開けてください。
場面別に見ると、ソロならリアゲートの下で十分。夫婦やファミリーで調理に時間がかかるなら、カーサイドタープやリアゲートタープを張って作業スペースを広げると快適です。地面が濡れているときは、コンロの下に安定した台やテーブルを置いて、傾きをなくすことも忘れないでください。
注意点は熱です。リアゲートを屋根にする場合、コンロとゲート内側の距離が近すぎると、樹脂パーツやガラスが熱を受けます。高火力で長時間煮込むときは、ゲートの真下ではなく少し外側にずらすのが安全です。塗装面の変色や樹脂の変形は元に戻りません。

「窓を閉めて寝たら朝には窓ガラスがびっしり水滴だらけ」「夏の夜、エンジンを切ったら暑くて何度も目が覚めた」——車中泊を始めた人がまず突き当たるのが、車内の空気の…
調理後の車内に残る「におい」と「湿気」への対処
安全とは別に、車旅ならではの悩みが調理後の車内環境です。屋外で調理していても、鍋やフライパンを車内に持ち込めば、においと油分と湿気が寝床に持ち込まれます。これが翌朝の不快感や結露の原因になります。
対策は3つです。1つ目は、使った調理器具を密閉できるコンテナかジッパー袋に入れること。2つ目は、就寝前に一度全ドアを開けて空気を入れ替えること。3つ目は、油を使う料理を車旅の最終日ではなく、翌日に洗い場のある場所へ寄れる日程で組むことです。
使う場面としては、キムチ鍋やカレー、焼き肉のように香りの強い料理を作った夜。とくに冬は窓を閉め切るため、においがシートやマットに残りやすくなります。夏でも同じで、油汚れが残った器具を車内に置くと、翌日の高温でにおいが増幅します。
注意点は、消臭スプレーで上書きしようとしないことです。車内の狭い空間では香料が濃くなりすぎ、かえって眠りにくくなります。基本は換気と物理的な隔離。においの元を密閉して、空気を入れ替えるのが確実です。
予算別・人数別の選び分けとボンベの持ち運び・保管ルール
ここまでの情報を、実際の買い物に落とし込みます。予算と人数で選択肢を絞り、最後に燃料の扱いという「機器を買ったあとの話」まで押さえておきましょう。ボンベの管理は、機種選び以上に事故に直結する部分です。
予算5,000円台|まず1台なら風まるIIIで足りる
初めての1台で、予算をできるだけ抑えたいなら風まるIII(実売5,180〜5,400円前後)が現実的な答えです。3.5kW(3,000kcal/h)と6機種中トップの火力を持ち、ダブル風防ユニットも搭載。キャリングケースも付属して5,000円台という構成は、コスパで見て有利です。
この価格帯を選ぶべき人は、車中泊を始めたばかりで、どこまで自炊するかまだ決まっていない層です。まず1台使ってみて、物足りなければ後からタフまるやシングルバーナーを買い足す。5,000円台なら、そうした試行錯誤の授業料としても許容範囲でしょう。
使う場面は、道の駅やRVパークでの夕食づくり全般。耐荷重15kg、鍋底の直径24cm以下の鍋まで対応するので、2〜4人ぶんの鍋料理も作れます。屋内外兼用なので、車旅がない週末は自宅の鍋料理でボンベを消費できます。
注意点は、連続燃焼時間が約66分と短めなこと。高火力ゆえの宿命です。3泊以上の車旅なら、予備ボンベを2本は積んでおいたほうが安心です。またダッチオーブンを常用する予定なら、耐荷重20kgのタフまる系にしてください。
予算1万〜1万2,000円台|長く使うならタフまるXG
「これから何年も車旅を続ける」と決めている人には、タフまるXG(11,990円)かタフまる(11,000円)を勧めます。差額は約990円ですが、XGは鍋底6cm以上の小型クッカーまで対応し、質量も約2.2kgと200g軽い。1台で調理の幅をほぼ全部カバーできます。
この価格帯の価値は「買い足さなくて済む」ことです。5,000円台の機種で始めて、ソロ用ケトルが安定しないからとシングルバーナーを買い足せば、合計で1万2,000円を超えます。最初から1万円台を1台選んだほうが、結果的に安く収まるケースは珍しくありません。
使う場面は、ソロから4人家族まで。耐荷重20kgでダッチオーブンにも対応するので、無水カレーやローストチキンといった本格調理まで届きます。夫婦の週末車旅から、年に数回の長期旅まで、これ1台で回せます。
注意点はサイズです。ケースが376×341×136mmあるため、軽自動車で寝床を作ると収まらないことがあります。荷室の空き寸法を測ってから決めてください。軽バン・軽ハイトワゴンなら、タフまるJr.(ケース320×252×135mm・実売6,580円前後)のほうが噛み合います。
予算2万円超|ファミリーとキャンピングカーは2口が正解
4人以上の食事を毎回作るなら、US-1900(24,750円)の2口が効いてきます。3,900kcal/h×2という火力で、ご飯と汁物を同時に仕上げられる。1口コンロだと必ず発生する「待ち時間」が消えるのが最大の価値です。
この投資が回収できるのは、調理の頻度が高い人です。年1〜2回のキャンプなら1口で十分ですが、月2回以上の車旅で毎回2品以上作るなら、待ち時間の削減が積み上がります。キャンピングカーで長期旅をする人、子ども連れで食事の時間が読めない人には合理的な選択です。
使う場面はミニバン・ハイエース・キャンピングカーでの調理。収納時で約54×32.5×11.5cmと大きいため、荷室にある程度の余裕が前提です。別売のグリルプレート(5,500円)を足せば、焼き物までカバーできます。
注意点はガスの消費速度です。2口を最大火力で使うと、プレミアムガスで約45分、レギュラーガスで約55分。実質的にボンベを2本同時に減らすため、3泊の旅なら4〜6本の準備が必要になります。ボンベの積載スペースも計算に入れてください。
ボンベは車内に置きっぱなしにしない|夏の車内は50℃を超える
最後に、機種選びと同じくらい重要な話をします。カセットボンベを車内に積みっぱなしにしないでください。カセットボンベには「40℃以上になる車内などに置かない」旨の注意書きがあり、これは温度上昇でボンベ内圧が上がり、破裂するおそれがあるためです。
数字で見ると危険性がはっきりします。真夏の駐車中の車内温度は50℃を超えることがあり、直射日光が当たるダッシュボードは80℃近くまで上昇することがあります。40℃という基準を大きく上回る環境です。ここでよくある失敗が、車中泊シーズン中ずっとボンベを荷室に積んだままにしておくパターン。原因は「次も使うから」という置きっぱなしの習慣で、対策は「旅から帰ったら必ず降ろす」を固定ルールにすることです。
保管場所は、直射日光の当たらない風通しのよい常温の屋内が基本です。締め切った物置も夏場は高温になるため避けてください。使うときも、コンロのすぐ横に予備ボンベを置いたり、コンロの下や輻射熱の当たる位置に置いたりしないことが鉄則です。
あわせて期限も管理しましょう。イワタニはカセットボンベを製造から約7年以内に使い切ることを目安とし、こんろ本体は製造から10年を目安に買い替えを検討するよう案内しています。ゴム部品は使用頻度に関わらず経年劣化するためです。日常的に使いながら備蓄を回すローリングストックが、期限切れを防ぐいちばん確実な方法です。
1. 車内に置きっぱなしにしない(真夏の車内は50℃超、ダッシュボードは80℃近くになることがある)
2. 直火やストーブでボンベを温めない(低温時は体温程度で温める)
3. 期限を管理する(ボンベは製造から約7年、こんろ本体は製造から10年が買い替えの目安)
出典:岩谷産業 カセットこんろの使用期限・カセットボンベの使用期限と処理方法
まとめ|車旅の食事は5,000円台の1台から始められる
車旅で使うコンロは、カセットボンベ式を選べばまず外しません。燃料がコンビニやスーパーで手に入り、1本200円前後と安く、家庭のこんろとも共通で使える。この3点が、移動しながら生活する車中泊という条件と噛み合っているからです。OD缶は火力と低温耐性で優れますが、旅先で切らしたときのリカバリーが難しく、最初の1台としては選びにくい選択肢です。
機種選びは、火力・風防・サイズの3つで絞り込めます。火力は3.0kW以上あれば鍋や炒め物まで届きますが、それ以上に効くのが風防です。海沿いの道の駅や高原の駐車場では、カタログ火力の差より「炎を風から守れるか」が調理時間を決めます。そしてサイズは、荷室の空きスペースから逆算すること。買ってから入らないと気づくのが、いちばん避けたい失敗です。
予算別なら、まず1台は風まるIII(実売5,180〜5,400円前後・3.5kW)。長く使うならタフまるXG(11,990円・耐荷重20kg・小型クッカー対応)。荷室が狭い軽自動車ならタフまるJr.(実売6,580円前後・約1.6kg)かSOTO ST-310(7,480円・330g)。4人以上の食事を毎回作るならユニフレームUS-1900(24,750円・2口)。この5つの入口を覚えておけば、店頭で迷いません。
そして何より大事なのが、安全のルールです。カセットボンベを使う器具を車内やテント内で使うことは、メーカーが明確に禁止しています。一酸化炭素は無色無臭で気づけません。調理は車外、就寝は車内。雨の日はリアゲートの下やタープの下で、2面以上を開放した状態で使う。ボンベは車内に置きっぱなしにせず、旅から帰ったら必ず降ろす。この4つを守れば、車旅の食事は格段に安全で快適になります。
最初の一歩は、荷室の空きスペースを測ることから始めてください。寝床を作った状態で、残った面の幅・奥行き・高さをメジャーで測る。その数字を持って店頭に行けば、この記事で紹介した6機種のうちどれが自分の車に収まるかが即座に決まります。コンロが決まれば、次は予備ボンベ2本の置き場所。それだけで、今夜から温かい夕食が食べられる車旅の準備は完了です。
※価格・仕様は2026年7月時点の各メーカー公式サイト公表値です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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